④「反抗期と親の愛情」

HOME連載 | 私と生活圏 ‣ ④「反抗期と親の愛情」(2023.9.1)

tag : #私と生活圏

2023.9.1 更新

④「反抗期と親の愛情」

藤林 秀

私の下の息子は絶賛反抗期です。
特に、母親に対して反発する様子が見られています。
「学校行事の連絡をしない」「学校のお手紙は見せない」「行先は伝えない」等、たくさんの反抗期エピソードがあります。
これまでは、学校行事の連絡を行い、手紙を見せ、行先を伝えていました。
だからこそ、母親としては心配と言うかイライラと言うか…。色々と思うところが出てきます。
上の息子はそこまで明確な反抗期がなかったこらこそ、戸惑いも大きいと思います。

先日、私と下の息子と2人でドライブをしました。
そこで下の息子は「お母さんさ、いちいち〇〇を言ってくるんだって~」と話し始めました。

私はチャンスだと感じました。
息子が、母親との関係で悩んでいるときに伝えたい文章があったからです。
と同時に、「母親が煩わしくなる」という典型的な反抗期エピソードに、「わが子が健やかに育っているな」と感じ、嬉しくもなりました。

私は「うん、そうだったのか」と相槌を打ち、話を聞きました。
「そうなんだって。前はさぁ…」と話が続きます。
時折「なるほど。そのママの発言の裏にはママの心配な気持ちが隠れている感じするね」「そうかー。よほどママも心配になったんだろうね。とは言え息子的には腹立たしかったんだね」と、母親の気持ちを代弁します。

話を聞き続けると、気持ちがエスカレートしてきました。
感情的になると、他人の言葉がうまく入ってこないことってありますよね。
あまりエスカレートしないうちに、その文章を伝えようと思いました。

一通り話し終わってお互いに「そうなんだ」「そうなんだって」と、会話に一息ついたタイミングでその文章を伝えました。

「そうか。そしたら息子的にはママが煩わしいというか、不満に思う気持ちがあるんだね。その煩わしい気持ち、正直、わかるな~。パパもババに対してそんな気持ちの時があったな~。

でもそれって、親としてはすごく嬉しい!
今息子からの話を聞いて、めっちゃ嬉しいのが正直な気持ちだよ。
だって、ただのわがままじゃないじゃん。
これまで生きてきて、社会ことを知って、そのうえでちゃんと親を批判したり、自己主張できてるわけでしょ?
そのくらい成長したって証拠じゃん。
自分の子どもが健全に成長している証拠だからさ。
本当にありがたいというか、嬉しいな~。

で、そのうえで息子のすごいところは、そんな気持でも、コミュニケーションをとるところだよね。
ママに伝えられない気持ちも増えたけど、それでも自分の気持ちをママに伝えてるじゃん。
それって、ママに対する息子からの愛情だな、って強く感じるよ。
そして、煩わしいと思われていることをママは分かっているけど、息子にちゃんと言葉をかけるじゃん。
煩わしい印象を与えているかもしれない。
だけど、距離感を調節しながら、大切なことは伝えているよ。
それって、息子の事が好きだからできるんだと思うよ。

と伝えました。
すると、息子から意外な一言が飛び出しました。

「オラも、最近おかしいんだって」

そうか。
ママのことが好きだし、ママからの愛情を感じているけど、どうにも反抗心が湧いてくる、それが抑えきれない様子を滲ませました。

そうだよね。
自分でコントロールできてたら、今言ったような悩みは無いよね。
すごくその発言に共感しました。
反抗的な態度をとってはいるが、母親への愛情が変わっていないことを確認できました。

今回、私が下の息子に伝えたかったのは
①息子から母親への愛情を感じること
②母親から息子への愛情も感じること
③①と②をパパは嬉しく感じていること。

この3点です。
この3点を伝えたことで、下の息子が今まで言えなかった気持ちを知ることができました。
そして私は、母親への愛情を確認できました。
この日を境に、下の息子の態度が少し柔らかくなったように感じます。
本当に大切な会話でした。

とは言え、夏休みは夜10時に帰ってくることが複数回あったことを最後に報告します。
そりゃ煩わしいことを言われるわwww

(終)

※写真は、勇んで釣りに行ったけど、なんとなく魚がいない気配を感じ始めた下の息子。

目次へ | 次へ

Support our projects

藤林 秀
・NPO法人ほほえみの会 就労指導員
・母親と子どもの居場所活動 family café あづま~る代表
・子ども食堂 憩いの広場ここまる 主催チームなないろ副代表
・保育士
・修士(健康科学)