②「いじめのその先」

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2023.7.1 更新

②「いじめのその先」

藤林 秀

「坊主にしようかな」と息子に言われました。その時の息子の髪型はこちら

寝耳に水。
完全に寝耳に水。
息子の発言に対して、私は冷静な表情で会話をしていたが、内心は少しギョッとしたのを覚えています。

坊主にする理由を聞いてみました。
息子「坊主にしようかな」
私「坊主ね。良いねぇ。なんで坊主にしたいの?」
息子「え、いやぁ~…なんとなく」
私「うんうん」
息子「…なんかかっこいいし。みんなやってるし。みんながやれって言うし。一応…」
私「(一応とは?)」
息子「あー、でも怖いな。どうしよ。うーん…でもやる。うーん…」
私「なかなか迷っている感じもある?」
息子「うん。でもやる!面白いし!!」
私「なるほど!面白い?」
息子「うん。良くね?急に坊主にしたら!!」
私「急に坊主にしたら良いかもね(?)」
息子「おもろいって。絶対…(妄想しているような表情)」

なるほど。
息子が坊主にしたい理由は「面白いから」とのことです。
急に坊主にしたら、きっと友達は驚きます。
そして次の瞬間、「やば!」と言いながらゲラゲラ笑うことでしょう。

私は「面白いから」には納得しました。
しかしながら、「みんなが言うし」の部分が引っかかりました。
言い換えると「友達に言われて坊主にします」と言うことでしょうか?
友達に言われてやる…。
それっていじめでは??と言う疑問が湧きました。

さて、私は参観日に行きました。
坊主にしてから3日目のことです。
私は「友達関係はどうだろう?いじめられてないかな?」と言う少しの不安を抱えながら参観しました。

授業中と休み時間には、息子と友達の様子を観察しました。
坊主頭をお友達から触られていました。
でも友達には、からかう様子は感じられません。
息子は、触られていることを特に気にしていません。
これまでと変わらない様子の休み時間です。
どうやら、今までと変わらない友達関係のようです。

私にとって息子は、まだまだ可愛い可愛い子どもです。
「可愛い」の中には「未熟だから」「養護すべき存在」といった気持ちがあるように感じています。
だからこそ目を離せないという気持ちがあったのかもしれません。
しかしながら、今回の事は結果として、取り越し苦労だったわけです。
私の目の前には、これまでと変わらない息子と友人の関係性があったわけですから。

今回の事で、息子には私に見せていない世界があることを把握しました。
また、自分の子どもへの信頼が足りなかったのだ、と反省しました。
それと同時に、息子を見守ることの大切さを学んだ気がします。

今回私は「坊主にしたい」の息子の一言から、息子による友達との世界が醸成されていることを知りました。
そして、私自身が息子とその友達への信頼が足りなかったと気づきました。

みなさんは、急に自分の子どもから「坊主にしたい」と言われたらどう感じますか?
坊主にする理由は「仲間から言われたから」と言われたらいじめだと判断しますか?
少しギョッとするかもしれませんが、様子を見守ることで、子どもの発達を感じることがあるかもしれません。

坊主頭の様子は以下のYoutubeからどうぞ。

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藤林 秀
・NPO法人ほほえみの会 就労指導員
・母親と子どもの居場所活動 family café あづま~る代表
・子ども食堂 憩いの広場ここまる 主催チームなないろ副代表
・保育士
・修士(健康科学)